相手の納得感を引き出す質問方法
- 2019.11.26
ある心理学の実験に次のようなものがあります。
大学生を集めて陪審員になってもらいます。
そして、ひとりの 非行少年の話をします。
少年の名前はジョニー。
ジョニーは故意ではなかったのですが、第二級殺人の罪を犯しました。
それについて大学生にジョニーの刑期を決めさせるという実験です。
弁護士がジョニーを弁護します。
あるグループの大学生には次にように言います。
「ジョニーはとても温和な少年です」 つまり、弁護士がジョニーの性格を強く断定するわけです。
別のグループの大学生には次のように言います。
「ジョニーは温和な少年だと思いませんか?」 こちらは質問形を用いてジョニーの性格の判断を学生に委ねています。
さて、この実験では前者と後者のグループでは下す刑期の長さに違いが見られたでしょうか?
結果は、後者のほうが短い刑期を下す傾向が見られました。
この実験を行ったジルマンという研究者によると質問形の言葉はその決定を相手に委ねることになり、相手を良い気分にさせる傾向があるのだそうです。
そして、断定的な表現は相手に押し付けがましい印象を与えるという結論を下しています。
確かに、「こうしなさい!」とか「これはこうだ!」と断定されると反発したくなることがあります。
たとえば、お店で販売員に「これは絶対お買い得です。素晴らしい商品です。今、決断す べきです」と言われたら抵抗感を感じたりします。
こうしたときは「これは良い商品です!」ではなく、「これは良い商品だと思いませんか?」と相手に結論を委ねるようにします。
「コスト削減に役立ちます!」ではなく、「コスト削減に役立つとは思いませんか?」と相手にうかがうようにします。
そうすることで決定権は自分にあるのだと感じてくれて、決定権を委ねられた相手は、自らその商品の良い点やベネフィットなどを考えたりするようになります。
断定や決め付けではなく、相手の意向を伺うようにしたり、どう思うかを訊ねることで、自分で決められる納得感が醸成されるのです。
いかがでしょうか。
質問形の言葉はその決定を相手に委ねることになり、相手は自分事として考え出します。
押し付け、命令、断定を嫌うお客様には「○○とは思いませんか?」という質問型で決定を相手に委ねてみましょう。