バイオセーフティーレベル4
- 2020.03.10
バイオセーフティーレベルとは、細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付けのことです。
微生物・病原体などはその危険性に応じ、各国により4段階のリスクグループに分類されています。
バイオセーフティーレベル4であればBSL-4と表記されます。
ここではバイオセーフティーレベル4のウイルスをご紹介します。
■クリミア・コンゴ出血熱ウイルス
主な感染経路はマダニ。
ダニに咬まれてから通常1から3日、感染性の血液に触れてから通常5から9日で、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れ、発疹、血便、血尿、鼻血などの出血症状がみられます。
動物から人、人から人へも感染します。
ウイルスに感染してからの発症率は20%程度で、重症化すると全身の出血をきたすことがあり、致死率は最大で10%から40%です。
■エボラウイルス
最初は風邪に似た症ですが、やがて高熱を発し消化管などから出血します。
体細胞の構成要素であるタンパク質を分解することでほぼ最悪と言える毒性を発揮し、体内に数個のエボラウィルスが侵入しただけでも容易に発症します。
体中の穴という穴から、血を噴出し死に至るという言わずと知れた恐怖ののウイルスです。
現在でもエボラウイルスに対する治療方法はなく、ワクチンもありません。
致死率は80%ほどと、非常に危険なウイルスで、最強のウイルスと呼ばれるほどです。
感染力も強力ですが、ウイルスの毒性が強過ぎるため感染者が移動する前に死に至ることから、意外にも、これまでに600人ほどの死者数と言われています。
■ヘルペスBウイルス
感染ルートはサルによる咬傷・擦過症が大部分ですが、人から人へも感染します。
自然宿主であるサルでの死亡例は稀ですが、ヒトが感染すると脳炎、脊髄炎を起こし高確率で死亡してしまいます。
致死率は60%ほどですが、現在は治療法が確立されています。
■フニンウイルス(アルゼンチン出血熱)
主な感染源はネズミ。
人から人へも感染します。
ウイルスに感染してから7日から14日後に、発熱、筋肉痛、悪寒、頭痛、嘔吐やめまいをおこし、さらに症状が進行すると、体のさまざまな部分からの出血がみられるほか、呼吸が苦しくなったり、意識がなくなったりし、死亡することもありますが、致死率は低いそうです。
■ラッサウイルス(ラッサ熱)
西アフリカ熱帯雨林地帯に生息する齧歯類が感染源。
人から人へも感染します。
感染者のおよそ80%が軽症ですが、約20%が重症となり致死率は感染者の1~2%程度となるそうです。
■マチュポウイルス(ボリビア出血熱)
ボリビアにのみ発生し、感染源は小齧歯類。
人から人へも感染すると言われています。
致死率は30%以上と高く、早期の治療が必要となります。
現在のところ、ワクチンはありません。
■マールブルグウイルス
感染源は恐らくコウモリ。
感染した人や猿を介して感染するようです。
内出血、高熱、昏睡、腎不全などの症状を引き起こし、致死率は25%~88%と非常に高い値を示しています。
ワクチンも治療法もないため、自然治癒を祈るしかありません。
■天然痘ウイルス
天然痘は人間のみに感染、発症させるウイルスで、高い死亡率と強い感染力、そして治癒した後にも痘痕が残り、罹患者の精神的苦痛を残す病です。
最も古い天然痘の記録は紀元前1350年頃。
1980年の根絶宣言までの非常に長い間、人類はこのウイルスの脅威と闘い続けてきました。
天然痘は人類史上初めて撲滅に成功した感染症です。
天然痘ウイルスはDNAウイルスだったために変異することがなく、そのため完全に撲滅することができました。
現在では免疫を持っている人はほとんどいないため、生物兵器としてテロに流用された場合に大きな被害を出す危険が指摘されています。
天然痘ウイルスは現在、アメリカとロシアの研究所がそれぞれ管理している、ということになっていますが、果たして…
以外にも黄熱病や狂犬病、ペストウイルスはバイオセーフティーレベル3だそうです。
危険なことに変わりはありませんが。
日本でBSL-4に対応している施設は、東京都武蔵村山市にある国立感染症研究所・村山庁舎と、茨城県つくば市にある理化学研究所・筑波研究所の2か所です。
さて、あのウイルスは…?