史実の上で(多分)最初の医師イムホテプ
- 2023.03.13
医学史では、古代ギリシアの医師ヒポクラテス (前460頃~前375頃) を医学の創始者であるとするのが通例です。
しかし、 ヒポクラテスが生まれるより2000年以上前、 エジプトの建築家で神官のイムホテプは、結核から歯痛、関節炎まで、数多くの疾患や症状の治療法を考案していたそうです。
紀元前2650年ごろエジプトにいたイムホテプは、 歴史上に名の残る最初の医師だと考えられています。
ジェセル王の重臣として仕えたイムホテプは、何百もの疾患を記録に残しており、その治療法がとてもよく効いたことから、 死後何千年にもわたって神として崇められました。
またイムホテプは、 建築家としてジェセル王に仕え、エジプト初のピラミッドを設計し建造しました。
これは高さ約62メートルの階段状のピラミッドで、 ジェセル王の埋葬場所となりました。
最古の大規模な建造物のひとつに数えられており、現在のカイロの南側に今も残っています。
イムホテプは平民の出ですが、古代エジプトで宗教の中心地だったヘリオポリスにある神殿の高級神官になりました。
その後、宰相となってジェセル王に仕え、 王へ影響力を及ぼす助言者となりました。
イムホテプの医学文書はパピルスの巻物に書かれたと思われています。
迷信を除外し、 確かな効果のある医学的処置のみを記そうとした、 最古の書物のひとつと考えられています。
この書物は、イムホテプの死後何世代にもわたって書き写され、受け継がれていきました。
イムホテプは数百の疾患の治療法を考案しました。
例えば、外傷にはハチミツを、 リウマチにはセロリを、 皮膚疾患にはアロエを使うなどです。
彼の考案した治療法の中には、 現代の研究者たちによってその効果が確認されたものもあります。
風邪の症状の緩和にアカシアを使うというものもそのひとつです。
死後何世紀にもわたり、 イムホテプは疾患を治すその力を崇められ、 紀元前525年、エジプトのパンテオン神殿で正式に神のひとりとして認めらました。