神の存在証明
- 2020.01.16
神は存在するのか - この命題をアリストテレス以来、多くの哲学者が取り組んで来ました。
色々な考え方、神の定義がありますが、神の存在を数学的に証明しようと考えたのがクルト・ゲーデルです。
そう、あのゲーデルの不完全性定理で有名な数学者です。
1940年代、クルト・ゲーデルは数学的な証明で神の存在を明らかにしようとしました。
それは下記のようなものです。
i) 神という偉大な存在があり、神はそれ以上大きなものがないような存在である。
ii) 神は精神の概念として存在する。
iii) その他のものがすべて等しい場合、精神と現実のどちらにも存在する存在は、精神のみに存在する存在よりも優れている。
iv) ゆえに、神が精神にのみ存在するのであれば、神以上に偉大な存在を想像することが可能である。
v) しかし神よりも偉大なものは想像できないので、これは議論 i) と矛盾する。
vi) ゆえに神は存在する。
様相論理と並行宇宙論を利用して、ゲーデルは全知全能の存在が並行宇宙の1つに存在するのであれば、それは存在すると論じています。
無限の数だけ存在する宇宙には無限の可能性があるために、宇宙の1つには全能の神と言えるほどに強力な存在がいる。ゆえに神は存在する、ということです。
思いっきり噛み砕くと
無限個の宇宙が存在するなら神は存在する
ということです。
そして、時は流れて2013年2人のコンピューター科学者(ベルリン自由大学のクリストフ・ベンツミュラー(Christoph Benzmüller)氏とウィーン工科大学のブルーノ・ボルツェンローゲル・パレオ(Bruno Woltzenlogel Paleo)氏)は神は存在するというゲーデルの結論を最先端のソフトウェアを用いて、彼の立てた仮定や前提と論理的に整合することを立証しました。
これはつまり、ゲーデルの前提が正しければ、その結論(神は存在する)も正しいということが証明されたということです。
ただし、この「神は存在する」という結論はゲーデルの前提条件が全て正しかった時のみ有効だといえます。
神以上に偉大な存在がいないのか、並行宇宙は実在するのか。
そして、時代背景も気になるところです。
もし、「神は存在しない」という結論が出ていた場合、ゲーデルも2013年の証明も発表されていたか怪しいところです。
さて、今なお続くこの議論。
いますかね、神。
私の友人に神(じん)という名字の人なら実在しているんですけどね。
神の存在や信仰といったものがテーマの映画は数多くあるのですが近作ですと、実際に起きたさまざまな訴訟事件を基に、神を信じる学生が神の存在を証明すべく、無神論者の教授と対決するさまを描いたドラマ「神は死んだのか」がおすすめです。