ヤンガードリアス(1万2900年前の急激な寒冷化)の原因とは
- 2020.03.18
ヤンガードリアスは、最終氷期が終わり温暖化が始まった状態から急激に寒冷化に戻った現象で、現在から1万2900年前から1万1500年前にかけて北半球の高緯度で起こったとされています。
それがどうしたの?と思われるかも知れませんが、氷河期が終わり、1万4500年前から緩やかに温暖化してきた気象が1万2900年前から1万1500年前にかけて突然、また急激に寒冷化した原因が今もはっきりとは分かっていないのです。
■彗星激突説
この説はそもそも作家のグラハム・ハンコックが提唱した説で、1995年に出版された『神々の指紋』に記述されました。
そもそも作家が言い出したことなので、現在も異論が続出している説です。
2007年、カンザス大学の研究論文が連名で発表され、北米大陸に幅が約100kmの彗星が激突したことにより、地上の10%が火に覆われ、約1000年もの間、地球が暗闇に包まれたことがメインストリームの学説として認められるようになります。
恐竜の絶滅の原因とされる彗星は幅が約10km程ですので、北米大陸に約100kmの彗星が激突した後の世界が如何に大変なことになっていたかが予想できます。
北米大陸からマンモスやサーベルタイガーなどの大型動物の化石は発見されるものの、現在は存在しないこと理由ともされており、ヤンガードリアスを引き起こした彗星による災害を最も免れたのが東アフリカと言われており、現在、多くの大型動物がアフリカに集中しているのことの理由ともされています。
人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)の登場が約20万年前ということを考えると、人類は恐竜絶滅の発端となったと言われる災害の約10倍の規模の危機を経験し、1000年の暗闇を乗り越えてきたことになります。
最古の文明と言われるシュメール文明の起こりが約7300年前ですから、シュメール文明以前の文明の遺跡が残っていないのは、この彗星の激突が原因ではないかと考える研究者もいます。
このことから、プラトンが記述したアトランティス文明のような、シュメール文明以前の古代文明が存在していたのではないかと考えることもできます。
彗星激突説登場前には熱塩循環の弱体化が原因とする説があったのですが、この説は、原因と結果が繋がりにくく、現在のところ、この理論ではなぜ南半球の寒冷化が先に起こったのかが説明できていないため、かなり弱い説です。
先に彗星激突説は異論が続出している説と書きましたが、現在も定期的に反証とされる論文が発表されています。
そもそもの研究結果を疑うものや、菌類や昆虫の糞の粒子によってこの説を覆そうとする論文が発表されましたが、今の所、彗星激突説が最も有力と言えるでしょう。