ざっくりタスキギー研究とは

2023.08.10

ざっくりタスキギー研究とは

タスキギー研究とは、アメリカ公衆衛生局が1932年から1972年までアラバマ州タスキーギで行った梅毒の臨床研究です。

この研究では、貧しい黒人小作農の男性600人を被験者として登録し、そのうち399人は梅毒に感染していましたが、彼らには治療を施さずに病気の進行を観察しました。

被験者たちは、医療や食事などの見返りとして研究に参加したと思わされていましたが、実際には梅毒の診断や治療法について正しく説明されていませんでした。

この研究は、医療倫理に反する非人道的な実験として非難されました。

この研究の目的は、梅毒を治療しなかった場合の影響を調べることでしたが、その方法は非常に不道徳でした。

梅毒は、性感染症の一種で、放置すると神経系や心臓などに重大な障害を引き起こします。

1940年代には、ペニシリンが梅毒の治療に有効であることが証明されましたが、この研究では被験者にペニシリンを投与することはありませんでした。

また、被験者が他の医療機関で梅毒の治療を受けることも妨げられました。

この結果、被験者の多くが梅毒によって死亡したり、妻や子供に感染させたりしました。

この研究は、1972年に内部告発者がマスコミにリークしたことで発覚しました。

その後、公衆衛生局は研究を中止し、被害者やその家族に補償を支払うことになりました。

また、この研究は医学研究の倫理規範や法規制の改善につながりました。

1997年には、ビル・クリントン大統領が被害者に対して謝罪しました。

タスキギー研究は、人体実験の歴史の中でも最も忌まわしい例の一つとされています。

この研究は、人種差別や社会的不平等などの問題を浮き彫りにしました。

また、この研究は、医学研究における被験者の自律や保護などの重要性を教えてくれました。