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知っておきたいシオニズム

2023.10.25

知っておきたいシオニズム

1894年、ハンガリー系ユダヤ人青年テオドール・ヘルツル(1860~1904)は、パリでジャーナリストとして働いていたとき、ショッキングな光景を目にしました。

フランス軍の砲兵将校でユダヤ人のアルフレッド・ドレフュス大尉(1859~1935)が、無実であるにもかかわらず反逆罪で有罪を宣告され、パリでは群衆が集まって口々に「ユダヤ人に死を」と叫んでいたのです。

このときに受けた衝撃から、ヘルツルは近代シオニズム運動を創始することになった。

シオニズム運動とは、ユダヤ人には自分たちの祖国が必要であり、しかも早急に手に入れなくてはならないと考え、その実現を目指す運動のことです。

いわゆるドレフュス事件は、19世紀のヨーロッパでユダヤ人が直面していた厳しい反ユダヤ主義の根深さを如実に示すものでした。

ドレフュスは最終的に冤罪を晴らされ、フランス大統領による恩赦を受けましたが、そうなるまで南アメリカにある島の刑務所で4年間を過ごさなくてはなりませんでした。

ユダヤ人国家樹立という考えは決して新しいものではなかった紀元70年にローマ帝国に国を滅ぼされて以来、ユダヤ人はエルサレムに帰還することを心から願っていましたが、世界中に散らばるユダヤ人をひとつの旗印の下に結集させる組織的活動を開始したのは、ヘルツルが最初でした。

協力者であるナータン・ビルンバウム(1864~1937)とともに、ヘルツルはただちに1897年スイスのバーゼルで第1回シオニスト会議を開催しました。

3日間の会議で各国代表は、バーゼル綱領を採択して「国際法の下、パレスチナの地にユダヤ人のための故国を設立する」ことに合意し、世界シオニスト機構(WZO)を設立しました。

その後も世界シオニスト会議は、第二次世界大戦の勃発で中断するまで、毎年または2年に1度のペースで開催されました。

一方WZOは、バーゼル綱領の採択直後から、その中で示された目標を実現させるべく、当時オスマン帝国の属領でエルサレムを含んでいたパレスチナへの小規模移民を奨励しました。

シオニズム運動が組織・推進される上で大きな要因となったのは反ユダヤ主義でしたが、同時にユダヤ人たちは、独立した民族として自治を獲得するためにも故郷へ帰ろうとしました。

ヘルツルやビルンバウムなど多くの人々の尽力により、近代世界で初のユダヤ人国家が1948年5月14日に建国されました、それがイスラエルの独立宣言です。

これにより、ユダヤ人はついに自治のチャンスを手にしたのです。

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