ざっくりCERN欧州原子核研究所
- 2023.08.08
CERN欧州原子核研究所は、第二次世界大戦後にヨーロッパの科学者たちが原子核物理学の研究を共同で行うために設立した研究所です。
当時、アメリカやソ連は核兵器開発のために巨大な加速器を建設していましたが、ヨーロッパの各国は単独ではその費用に耐えられませんでした。そこで、ユネスコの勧告を受けて、12か国が出資してCERNを創設しました。
CERNは、ヨーロッパの科学と平和の象徴として、素粒子物理学の最前線で多くの発見や技術革新をもたらしてきました。
CERN欧州原子核研究所は、世界最大規模の素粒子物理学の研究所で、様々な実験を行っています。
その中でも特に有名なのは、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用いた実験です。
LHCは、地下約100メートルの深さに全周約27キロメートルの円形トンネルに設置された加速器で、陽子や重イオンを高速で周回させて衝突させることで、素粒子の性質や相互作用を調べます。
LHCでは、以下のような実験が行われています。
ヒッグス粒子の発見
ヒッグス粒子は、素粒子が質量を持つ理由とされるヒッグス場と相互作用する粒子です。LHCでは、2012年にATLAS実験とCMS実験でヒッグス粒子の存在を観測することに成功しました¹²。これは素粒子標準模型の最後のピースを埋める大きな発見でした。ダークマターの探索
ダークマターは、可視物質よりも多く存在すると考えられるが、直接観測できない謎の物質です。LHCでは、ダークマターと関連すると期待される超対称性理論やエクストラディメンション理論などを検証するために、新しい粒子や現象を探しています。クォークグルーオンプラズマの生成
クォークグルーオンプラズマは、高温高密度の状態でクォークやグルーオンが自由に動くことができる物質です。LHCでは、重イオン衝突実験によって、ビッグバン直後に存在したと考えられるクォークグルーオンプラズマを再現することに成功しました。以上がCERN欧州原子核研究所が行った実験の一部ですが、他にも多くの興味深い実験が進められています。
CERNでは、加速器だけでなく、インターネットやウェブなどの情報技術も発展させてきました。
CERNは人類の知識や技術を拡大するために貢献している素晴らしい研究所だと思います。